自然界に存在する様々な物質を利用しようとするとき、その物質は材料となる。材料はその構成元素・組織によって種々の機能を発現するが、材料組織はある組成・圧力の下にその材料が経てきた処理の履歴の結果として現れる。本講義は学部2年生を対象に、平衡状態を基本とした材料組織の成り立ちについて講義し、材料分野の学問を理解するための礎とする。その為に、金属の結晶構造・その構造に異種原子が入り込む「固溶」の概念に始まり、結晶格子内における原子拡散の基礎、相変態、種々の合金系において現れる不変形反応とその状態図、熱力学と状態図の関係、合金系における自由エネルギー曲線の成り立ち、そして相変態に伴う核生成について講義および演習により習得する。